東洋大学大学院:2009年度の講義のシラバスです   

今年も、まもなく東洋大学大学院での講義が始まります。
この講義も、2005年度に始めて、これで5年目。
受講者は児童福祉事務所職員やソーシャルワーカーとして働いている社会人大学院生の方が大半で、私自身にとってもたいへん勉強になっています。

今年は、昨年11月にブラジルのリオデジャネイロで開催された第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議のお話しとか、日本における外国人労働者の子どもの人権のこととか、いろいろと新たな人権の課題に取り組んだので、そのあたりのことも受講生の皆さんとシェアしてみたいと思っている。
もちろん、2007年秋より取り組んでいるチャールズ・テイラー博士の『ある世俗の時代』に関連した、宗教と近代化、多文化主義の問題もお話しするつもりである。

ということで、2009年度東洋大学大学院の講義、まもなく始まります。

【科目名】
地域社会システム特論XI

【サブタイトル】
日本のわたし達にとっての国際人権

【講義の目的】
自分が行きたいところへ出掛け、自分がやりたいことを仕事にして、自分が好きになったひとと暮らす。ひとが自分らしい人生を生きるためには、さまざまな「人権」が保障されていなければなりません。
しかし、全ての人は尊厳と権利において平等であるという人権の思想が世界的に公式に認められたのは、わずか60年前のことに過ぎません。この講義では、国内外の様々な事例、そして参加者の日常的な経験に基づき、西欧社会で誕生した人権という社会規範の特徴と非西欧社会における適用可能性をその思想史的背景にまで遡って考えてみるという試みに挑戦します。
この講義を通じて、受講者の皆さんが人権という社会規範の歴史、特質を把握し、人権という考え方を日常生活に生かす考え方を育むことが出来るようになることを期待しています。

【講義スケジュール】
第1回 オリエンテーションと子どもの権利の世界を巡る動きの紹介

第2回 ニーズ言語と権利言語:マイケル・イグナティエフ『ニーズ・オブ・ストレンジャーズ』大江洋『関係的権利論』

第3回 イラク戦争と人権:拙論「マイケル・イグナティエフの人権論的転回?」

第4回 児童ポルノを中心とした子どもの商業的性的搾取問題について:拙論“Social Imaginaries of Ubiquitous Society and Human Rights”

第5回 人身売買問題:拙著『表現アートセラピーを応用したリサーチ手法の可能性―人身売買被害者の<ほんもの>の語り』

第6回 人身売買問題:拙著『人権をひらく』第8章他

第7回 子どもの権利主体性:拙論「チャールズ・テイラーの全体論的個人主義と人権主体論」『経済社会学会年報』第26号

第8回 人間中心主義と主体的権利論の歴史:チャールズ・テイラー『自己の諸源泉』

第9回 日本人にとっての人権:拙論「「自己」の身体―〈ほんもの〉の身体性」『社学研論集』第9号

第10回 多文化主義と人権<多民族国家日本への途>:拙論「マルチカルチュラリズムと現代日本―チャールズ・テイラーの『マルチカルチュラリズム』を中心に―」『社学研論集』第7号増補版

第11回 宗教と人権:拙論「西欧社会における「世俗化」への路―チャールズ・テイラー『ある世俗の時代』―」『社学研論集』第11号

第12回 日本人にとっての人権:2008年洞爺湖サミットを振り返って

第13回~第15回
参加者の発表に基づく討論

【テキスト】
森田明彦『人権をひらく―チャールズ・テイラーとの対話』(藤原書店、2005年)

【参考資料】
ルードルフ・フォン・イェーリンング『権利のための闘争』(岩波文庫)
マイケル・イグナティエフ『ニーズ・オブ・ストレンジャーズ』(風行社、1999年)
マイケル・イグナティエフ『人権の政治学』(風行社、2006年)
マイケル・イグナティエフ『ライツレボリューション』(風行社、2007年)
チャールズ・テイラー『マルチカルチュラリズム』(岩波書店、2002年)
チャールズ・テイラー『〈ほんもの〉という倫理』(産業図書、2004年)
森田ゆり『エンパワメントと人権』(解放出版社、2002年)
大久保真紀『プンとミーチャのものがたり―こどもの権利を買わないで』(自由国民社、2000年)
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by fwge1820 | 2009-03-14 07:16 | 東洋大学

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